黄泉比良坂(よもつひらさか)。あの世への入り口です。
日本神話でこの名前を目にしたことがあるという人も多いんじゃないでしょうか。
じつはね、黄泉比良坂は実在するんです。
イザナギは、死んだ妻のイザナミを連れ戻すため、ここ黄泉比良坂から黄泉の国へ入ります。
イザナギはイザナミに、この世に戻るよう懇願します。
「わたしはすでに黄泉の国の食物を口にしてしまっており、戻ることはできないのです。
しかし黄泉の国の神様に相談してみるので、その間絶対にわたしの姿を見ないでくださいね。」
(「絶対覗くな」という、いかにもな前フリですが)あまりに時間がかかるので、イザナギはつい、火を灯してイザナミの姿を見てしまいます。
するとなんと、イザナミの姿はウジのわいた恐ろしい死者の姿になっていたのでした。
イザナギは恐ろしくなって、逃げだしました。
「よくも恥をかかせたわね!」とイザナミは怒って、従者や軍隊を従えてイザナギを猛追します。
イザナギ、絶体絶命の大ピンチ!
最後にイザナギは生えていた桃の木から実をもいで投げつけてひるませ、
だいぶ端折っていますが、黄泉比良坂に関するお話の、大体のあらすじです。
えーっと。
・・・イザナギひどくない?
絶対覗くなと言われたのに覗いて、逃げ出すとか、ひどくない?
モノ投げつけるとか、最低じゃない?
そしてイザナミは、「これから1日に千人、この世の人間を殺してやる!」と闇落ちしたのでした。
うん。わかるよイザナミ。やっちまえ。
いつも妖怪スポットを興味深く楽しく見学させていただいているのですが、ここの雰囲気は独特でした。
怖いけれど、神聖。
畏敬の念を抱くとは、このような感情なのかな。
あの岩の向こうに、今もイザナミはいるのでしょうか・・・?