ちょっぴり頭髪がさみしいセクハラおじさんにむかって「エロ河童!」って罵声を浴びせたこと、女性の皆さんなら一度はあるかと思います。(ないわ)
そもそも今時の若い方はエロ河童なんて言葉知らないんじゃと一抹の不安を覚えつつ、今回はそんなエロ河童のお話です。
遠野には、有名なカッパ淵の他にも河童の伝承が多く残っています。
太郎淵もそのひとつ。
太郎という河童が住んでいるので太郎淵とよばれているこの場所。
太郎河童は淵に水仕事をしに来る女性たちに悪さをしていたそうです。
いや、悪さをしたなんていうとかわいらしいですが・・どうやら相当際どいところまで覗き見ていたとのこと。
太郎淵のちかくの淵には女の河童が住んでいて、太郎に言い寄っていました。
太郎、案外やるじゃん。
河童の女の子に好意を寄せられながらも人間の女にちょっかいを出すあたり、なかなかの好色です。
しかしどうやら、遠野に残る河童の伝承には、
・・・そっち方面のお話が多いようなのです。
柳田国男の『遠野物語』にはいくつかの河童の伝承が記されています。
ある日、女が川端でにこにこと笑っているのを、婿の家の者が見かけた。
あくる日も、やはり女は川べりでなにやら笑っている。
そんなことが何日も続いているうちに、女のもとに何者かが夜這いに来るようになった。
はじめは婿がいない日だけだったが、やがて婿がいる日にまで来るようになる。
河童の仕業ではないかということになり、一族の者があつまって守ろうとしたが、成す術がなかった。
ついに女は身ごもり、河童の子供を産んだ。
その手には水かきがあったという。
この女の母親も、河童の子供を産んだことがあるという。
生まれた河童の子供はたいへん醜悪な姿をしていた。
人々はそれを切り刻んで一升樽に入れて埋めた。
(遠野物語55話)
いやいや、怖いよ!
特に最後!
上郷村のある家で、河童のような子が生まれたことがあった。
河童であるという確かな証拠があるわけではなかったが、
その姿は全身が真っ赤で口が大きく、醜い姿をしていた。
忌まわしいのでこの赤子は捨てられた。
しかし捨てに行った者が、やはり見世物として売り飛ばそうと思いなおして振り返るとすでに赤子の姿はなかったという。
(遠野物語56話)
河童のような赤子。
確証はないけど赤くて口が大きいので河童・・?
ここからは想像です。
体の赤い、口の大きい赤子。
これは奇形など、何かしらの障害をもって生まれた赤ちゃんだった可能性があるのではないでしょうか。
また、さきの話も、道ならぬ関係の末に生まれた、育てることができない赤ちゃんであると言えるのではと思います。
そのような育てられない赤ちゃんを、河童の子ということで処理していたのでは・・。
今日では河童はキャラクター化されてかわいらしいイメージがありますが、
そんな暗い想像をかきたてるものが遠野の河童にはあります。
遠野物語59話には、
一般的には河童は緑色や青色をしているが、遠野の河童は赤い。
と記されています。
・・・遠野の河童は、そのようなものなのかもしれません。
『えほん遠野物語 かっぱ』
こちらは遠野の河童の雰囲気を感じてもらうのにおすすめ。
絵本といって侮ることなかれ・・・絵がめっちゃ怖いです
河童の姿ははっきりと描かれていないところが、いろいろ想像させます。
現代の言葉で書いてあって読みやすいので、遠野物語が初めての方への導入としてもおすすめします。
散々怖がらせましたが、
太郎淵の河童像はかわいいよ!
(あれ?赤くないじゃん・・)
行ってみてね!
太郎淵
〒028-0543
岩手県遠野市松崎町光興寺3地割74